3DGSHoudiniComfyUIAI 2026-07-23

Houdini 22 × ComfyUI ──
渋谷のGaussian Splatsで実証された
VFX × AIハイブリッドワークフロー

シニアVFXアーティストの hectorVFX 氏(拠点:ハンガリー・ブダペスト)が、ロケハン3Dが提供した渋谷スクランブル交差点の Gaussian Splats(3DGS)データを使い、新しいVFX × AIハイブリッドワークフローの実験結果をXで公開してくれました。使用したのは Houdini 22ComfyUI を組み合わせた手法です。

渋谷スクランブル交差点のGaussian Splatsに合成され、AIレンダリングで仕上げられた白いスポーツカー(夜景)
完成カット。渋谷の3DGSデータに配置した車両を、最終的にAIレンダリングで仕上げた1枚。撮影ではなく、スキャンデータ起点の合成カットであることに注目。
渋谷3DGS(環境) ComfyUI TripoSplatで車両を3DGS生成 Houdini 22でmerge・配置 カメラ・レンダリング

01 きっかけ:Houdini 22でのGaussian Splattingネイティブ対応

このワークフローの起点は、2026年7月にリリースされたHoudini 22Gaussian Splatting(3DGS)がネイティブ機能になったことです。これまで外部プラグインに頼るしかなかった3DGSを、通常の点群と同じようにHoudiniのノードで加工できるようになりました。標準の変形ノードでアニメーションさせることも、Karmaレンダラーでそのままレンダリングすることもできます。3DGSが「見るだけの背景素材」から3D DCCの中で加工できるレイヤーに変わったことが、このハイブリッドワークフローを成り立たせています。

02 ワークフローの流れ

hectorVFX氏が公開した制作画面の録画をもとに手順を整理すると、次の4ステップになります。ポイントは、背景(渋谷の3DGS)と被写体(車両)を別々の経路で用意し、どちらも「Gaussian Splatsのまま」Houdini上で1つのシーンに合成することです。2D画像の合成ではなく、点群同士を3D空間でマージします。

① Houdini 22:渋谷の3DGSをネイティブに読み込む

ロケハン3Dが提供した渋谷スクランブル交差点の3DGSデータを、Houdini 22にそのまま読み込みます。Gaussian Splatting専用ノードを通すことで、3DGSは「見るだけの点群」ではなく法線を持つジオメトリになり、他のノードと組み合わせて加工できる状態になります。

② ComfyUI:車両を「画像から3DGS」として生成する

被写体の白いスポーツカーは、写真合成ではなくComfyUI上でゼロから3D Gaussian Splatとして生成します。2D画像を作ってから3D化するのではなく、拡散モデルから直接3Dガウシアンを書き出すのがポイントです。メッシュに変換されずスプラットのまま出てくるため、①のHoudiniシーンにそのまま合流できます。

TripoSplatとは画像/テキストto3Dモデルの生成結果を、メッシュではなくガウシアンスプラットとして出力するComfyUIカスタムノード群です。スプラットのまま出てくるため、①のHoudini上の3DGSシーンにそのままネイティブに合流させられる点が、このワークフローの肝になっています。

③ Houdiniで合成:2つの3DGSを1つのシーンへ

②で生成した車両スプラットをHoudiniに読み込み、①の渋谷シーンと結合します。位置・回転・スケールを合わせて交差点の横断歩道上に据えることで、実写スキャンとAI生成物という出自の違うデータが、1つの3Dシーンになります

④ カメラ・ライティング・最終レンダリング

合成が済んだシーンにカメラを立て、モーションブラーと被写界深度を設定してレンダリングします。仕上げに夜間のネオン反射や濡れた路面のライティングでグレーディングすることで、記事冒頭の最終カットになります。

詳細スペック(再現したい方向け)

本文では省いた設定値です。録画から読み取れた範囲でまとめています。

環境データ(背景)
渋谷スクランブル交差点の3DGS(ロケハン3D提供)/ Houdini 22 Indie(build 22.0.368)のネイティブGaussian Splattingノード(bakegsplat / transform / normal / merge)で読み込み
被写体(車両)の生成
ComfyUI ワークフロー "ER_TripoSplat_Live" / KSampler(steps 20, cfg 3.0, dpmpp_2m, simple, denoise 1.0) → TripoSplat Decode(num_gaussians 300,000) → Create 3D File (from Splat)
合成
Houdini上でmergeノードにより2つの3DGSを1シーン化。Transform SOPで手動配置
カメラ・レンダー
Houdiniカメラ(cam1)/Shutter Time 0.5・Focus Distance 5・F-stop 5.6でモーションブラー・被写界深度を作り込み

03 制作画面の録画で見る、全体の流れ

hectorVFX氏からは、この一連の手順をキャプチャした33秒の画面録画も提供いただきました。Houdiniのシーングラフとビューポート、ComfyUIのノードグラフが実際にどう切り替わりながら進むのか、文章で読むより一目で伝わります。

制作画面の実録画。Houdini 22での3DGSシーン構築 → ComfyUI(TripoSplat)での車両生成 → Houdini内での合成・カメラ設定 → 最終レンダリングまでの流れをキャプチャしたもの。

04 Before / After:コンセプトから最終カットへ

今回シェアいただいた2枚の画像から、その工程の一端がうかがえます。

渋谷スクランブル交差点のGaussian Splatsシーンに車両を配置したコンセプト・プレビュー画像
コンセプト/プレビュー段階。渋谷の3DGSシーンに車両を配置し、構図とカメラワークを固めた状態。この時点で「どこに何を置き、どう見せるか」の設計はほぼ完了している。
AIレンダリングで仕上げられた渋谷スクランブル交差点の最終カット(夜景・反射・ライティング込み)
AIレンダリング後の最終カット。構図・配置はプレビュー段階のまま、質感・ライティング・反射をAIレンダリングで作り込んでいる。

元となった投稿には、この工程を動画で解説したクリップも公開されています。あわせてご覧ください。

@hectorVFX元投稿を見る(動画あり) X (Twitter) で開く →

05 使用データについて

今回のワークフローの舞台になっている渋谷スクランブル交差点のGaussian Splatsは、ロケハン3D代表・中村航が提供したデータです。実際にPortalCamで現場を歩いてスキャンしたデータが、海を越えて別のクリエイターの手で新しい表現に使われた、うれしい事例になりました。

DATA / 3DGS

この記事で使われている渋谷スクランブル交差点の3DGSデータは、
ロケハン3Dのオンライン版で購入・閲覧できます

PLY/OBJ形式(3DGSウォークスルー付き)で提供。スタンダードライセンス ¥200,000〜(商用・非商用利用可)。同じデータを使ってVFX × AIハイブリッドワークフローを試してみたい方は、ぜひご覧ください。

物件データを見る →

06 まとめ

Houdini 22 の登場で、Gaussian Splats を「見るだけの素材」から「3Dシーンの中で本格的に制御できるレイヤー」として扱える環境が整いつつあります。ロケハン3Dのスキャンデータも、こうしたVFX × AIハイブリッドワークフローの土台として活用いただけます。同様の実験・制作にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

Creators / 制作

本ワークフローの制作

hectorVFX
hectorVFX
シニアVFXアーティスト

Houdini・ComfyUIを軸にしたVFX × AIハイブリッドワークフローを探求するシニアVFXアーティスト。YouTubeでもVFX技術を発信している。拠点はハンガリー・ブダペスト。

中村 航
中村 航Kou Nakamura
ロケハン3D 代表 / 3DGSスキャン

ロケハン3D(LOCAHUN 3D)代表。本ワークフローで使用された渋谷スクランブル交差点の3DGSデータのスキャンを担当。

@Kou45388803 をフォロー →