01 このワークフローでできること
3D Gaussian Splatting(3DGS)の強みは、一度スキャンすれば視点を後から自由に作れること。これを使えば、現場を歩いて撮るだけで、ドローンや特殊機材なしに上空アングル=「空撮カット」を作れます。
本記事では、その「3DGSから空撮カットを作る」基本と、さらに人物や動きを足す応用までを、実際の制作素材で順に追います。
02 用意するもの
- 空間スキャン / 3DGS
- XGRIDS PortalCam(徒歩スキャン)/ Lixel CyberColor(LCC Studio)で3DGS化
- 3D・カメラ・レンダ
- Cinema 4D / Octane Render / トラッキング元素材
- 背景の修正・加筆
- Nano Banana(破綻修正)/ Photoshop(煙などの加筆)
- 応用(人物・動きの生成)
- Higgsfield(element管理)/ Seedance 2(ショット生成)/ After Effects(仕上げ)
STEP 1 PortalCamで徒歩スキャン → 3DGS化
まず現場を XGRIDS PortalCam で徒歩スキャンし、Lixel CyberColor(LCC Studio)で 3DGS 化します。ドローンや特殊機材は不要で、許可・天候のハードルも低いのが利点。この3DGS空間が、空撮カットの"舞台"になります。
STEP 2 元素材 → C4Dでカメラトラッキング
空撮カットの「カメラの動き」の土台になる素材を用意し(今回は素材サイトのフッテージ)、Cinema4Dでトラッキング(解析)。解析した動きを3Dカメラに移植して、3DGS空間の中を上空アングルで動くカメラを作ります。ここで空撮のカメラワークが決まります。
STEP 3 3DGS空間をOctaneでレンダ → 空撮カット
3DGS空間に、作ったカメラを通して C4D / Octane でレンダリング。これで、歩いて撮っただけの現場が、上空アングルの「空撮カット」になります。飛ばせない場所・撮れない高度のアングルも、現場データから後付けで作れます。
同時に、この時点で人物のダミーモデルも配置してレンダしています。これは後の応用(生成)で使う「動きのガイド」で、役割は応用編①で解説します。
STEP 4 背景の破綻を修正・加筆 → 空撮プレート完成
歩行スキャンの3DGSは、遠景の建物・画面端・細部などが崩れやすい弱点があります。これを Nano Banana で破綻修正し、さらに Photoshop で煙などを加筆して、空撮プレートを仕上げます。
応用 人物・動きを生成して仕上げる
ここからは応用編。基本で作った空撮カットを"設計図"として、AI動画生成(Higgsfield / Seedance 2)でフォトリアルな人物や動きを足していきます。基本の空撮カットがあるからこそ、生成AIに「構図・カメラワーク・ポーズ」を正確に守らせられます。
① 色分けダミーで「動きのガイド」をつくる
STEP 3 で配置したダミーモデルは、部位ごとに色分けしています。こうすると、生成AIが「どこが頭・腕・胴か」を認識しやすくなり、ポーズや手の動きを正確になぞらせることができます。STEP 3 のレンダ動画が、そのままカメラワーク+人物モーションのガイドになります。
② PortalCamデータから参照素材を抽出
element作成(次の③)のために、ロケーションのリファレンス画像を用意します。これは PortalCam の撮影データ(内部の連番フレーム)から取り出した実写です。現場の路面標示・縁石・建物・空の質感を、そのまま渡す素材になります。
③ Higgsfieldでelementを作成
Higgsfield の element 機能で、再利用できる「ロケーション」や「キャラクター」を登録します。②の参照素材をアップロードし、テキストで特徴も補足します(例:「日本の道路・白線・"止まれ"・赤い標識・街路樹・ガードレール・曇り空」)。一度 element 化すれば、同じ現場を何カットでも呼び出せます。
location を登録。キャラクターも同様に element 化して組み合わせる。④ Seedance 2 でショット生成
Seedance 2(Higgsfield 上)で、STEP 3 のガイド動画をなぞるようにショットを生成します。渡すのは次の3つ:
- ガイド動画(色分けダミー入りのOctaneレンダ)=カメラワークと人物の動き
- 空撮プレート / 補間画像(STEP 4)=破綻のない背景の見た目
- element(③)=ロケーションとキャラクターの質感
プロンプトでは「ガイドの見た目はコピーせず、ポーズと手の動きだけを厳密に踏襲して、フォトリアルな人物を新規生成する」よう指示します。ダミーの質感に引っ張られず、動きの正確さだけを受け継げます。
⑤ AEで仕上げ
生成されたショットを After Effects に持ち込み、カラー・グレード、合成、煙やエフェクトの調整を加えて最終コンプにまとめます。冒頭の完成動画がその結果です。
03 まとめ
ポイントは、「空撮カット」は3DGSだけで作れること。現場を歩いてスキャンするだけで、ドローン不要の上空アングルが手に入ります。
その先で人物や動きを足したいときは、3DGSの空撮カットを"設計図"にして、生成AIを応用として重ねるだけ。構図・カメラワーク・ポーズは3DGSが保証し、質感はAIが埋める——「撮れない画」「飛ばせない場所」を現場データから後付けで作る、これがロケハン3Dの 3DGS ワークフローの核心です。